岩手県内陸部では2月末から3月初旬、および9月中旬から11月にかけてのごく限られた時期に北上川やその沿岸の水田地帯等に多数のガン・ハクチョウ類が観察されます。当会ではガン・ハクチョウ類の春の渡りの状況を正確に把握して保護に役立てることを目的として、毎年2月末から3月下旬、および9月中旬から11月にかけにガン・ハクチョウ類の渡りの追跡調査を実施しています。岩手県内で主に観察されるガンはマガン・ヒシクイですが、それ以外に少数のカリガネ・ハクガン・シジュウカラガンなどの希少ガンも混じる可能性があります。またハクチョウについてはオオハクチョウとコハクチョウのいずれも見られます。会員の皆様におかれましては、お住まいの近くや出先などでガン・ハクチョウ類の群れが編隊飛行で上空を渡って行ったり水田に降りているのを見かけた場合は以下の5項目をメール等で下記宛にお知らせ下さい。一応の情報収集期間は渡りのシーズンの終了時までとさせていただき、最終集計結果の詳細は後日支部報とホームページで報告する予定です。
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(1) 種類・数:ガン類:マガン・ヒシクイ・カリガネ・ハクガン・シジュウカラガンなど。ハクチョウ類:オオハクチョウ・コハクチョウ。ただし種不明の場合にはガンsp(種不明)としていただいて差し支えありません。個体数はできれば種別にきちんと数えてお知らせいただきたいのですが、上空を大群が飛んだ場合などはアバウトに100羽単位の個体数でも差し支えありません。
(2) 日時:20○○年○月◯日(可能であれば◯時◯分も)
(3) 場所:◯◯市◯◯地区(詳細な地番などは不要とします)
(4) 確認者指名:
(5) 確認事項:そのガン・ハクチョウがどのような行動をしていたか、特に降りていた場合には採餌していたか、飛行していた場合はどちらからどの方向に飛んで行ったか、などを可能な範囲でお知らせください。例えば「盛岡市飯岡地区水田に500羽のマガンと20羽のヒシクイが降りて採餌していた」というように。
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<連絡先・報告先>
調査担当幹事(嶋田和明):shimada@iwate-u.ac.jp
なおホームページ管理者(wbsjmorioka@gmail.com)、当会事務局(passer@sc4.so-net.ne.jp)でも受け付けます。
なおこの調査の過去の集計結果については会員限定コーナーをご覧下さい。
これまでの結果をまとめるとガン・ハクチョウ類の春の渡りにおける「奥の太道」は下図のようになると推定されます。宮城県北部の伊豆沼・内沼・蕪栗沼などの地域には毎年合計20万羽ほどのガン類が越冬しますが、その大群のうちの一部は間違いなく北上川沿いに北上して3月上旬に盛岡まで到達するようです。しかしその先どのような経路で北海道に渡っていくのかはまだ明らかではありません。ガン・ハクチョウ類の渡りルートの解明に向けて私どもとしては今後も調査を継続していきたいと思います。
(*「楽地図」の岩手県白地図を利用して図面を作成しております。)
なお、絶滅の危機に瀕していたシジュウカラガンの渡りの経路と繁殖地が明らかになっております。その調査結果公表について山階鳥研からプレスリリース(2023年5月22日)が出ておりますので、詳細については山階鳥類研究所の下記のホームページをご覧下さい。なお2022年春には発信機付きのシジュウカラガンが岩手県盛岡市内に滞在していたことも確認されておりました。
当会では岩手県内陸部におけるガン類の渡りの状況を把握して保護に役立てることを目的として、春と秋の渡りの記録を収集しております。2023年度秋のガン類の渡りについては2023年12月末まで継続しました。皆様からお寄せいただいた観察情報の集計結果の概略を以下に示します。
岩手県内陸中部では2024年1月1日より早速ガン類の姿が観察されており、それに合わせて当会ではガン類の春の渡り調査を開始しました。会員の皆様への協力依頼と最新情報の速報について、以下のページをご覧下さい。
毎年高松の池では多数のオオハクチョウが越冬しますが、その中には標識された個体が見られます。今季の冬には標識オオハクチョウ3羽が確認されております。標識個体には右足にアルミ製の足輪がついており、そこに標識番号が記載されております。足輪の有無はオオハクチョウが氷の上に立っている時にしか確認できず、距離的に遠いと写真による標識番号の判別もなかなか困難です。その点で厳冬期の高松の池では標識オオハクチョウの確認が比較的容易ですので、皆さんもぜひ標識個体を探してみてください。
ハクチョウ類の標識活動は日本各地の越冬地や繁殖地のロシアなどで実施されています。標識の際には標識番号つきのカラーの首輪と右足にアルミ製の足輪が付けられ、これらの標識野鳥を野外で確認することによりその野鳥の渡りの移動経路や年齢などの貴重な情報が得られることになります。皆様が野外で標識野鳥を確認された場合には、可能な場合はぜひ「標識番号」なども添えていただいた上で当会にお知らせ下さい。
この調査については下記のページをご覧ください。