野鳥の生息環境を守ろう


 野鳥観察や調査活動を行っていると山林・田園地帯・河川等の開発による環境破壊にしばしば直面します。これに対して当会では「野鳥の好む自然環境は人間の快適な暮らしにとっても最適の環境である」との基本的姿勢に基づき、身近な野鳥や希少な野鳥の生息を脅かす各種の開発事業などに関して行政や事業者に意見を述べ、計画中止を求める色々な働きかけを行ってきました。特に最近10年ほどは北上高地や奥羽山脈における大規模風力発電計画、及び高松の池に隣接する芝水園の芦原の保全などへの対応が中心となっています。

[1] 希少鳥類の保護と大規模風力・太陽光発電事業計画への対応

 岩手県は日本有数のイヌワシ生息地域であり、日本国内のイヌワシの生息数約400羽のうちの約5分の1にあたる80羽ほどが岩手県の北上高地を中心として県内全域で生息しています。また北上川やその支流を含む水系、及び県北の馬淵川を軸とするこの地域はガン・ハクチョウ類などの渡りのコースであり、オジロワシなどの海ワシ類の越冬地にもなっています。さらに北上高地の各地には希少野鳥のオオジシギが繁殖しております。

 

岩手県内で特に保護が必要な野鳥

(1) イヌワシ・クマタカ等の希少猛禽類

(2) ガン・ハクチョウ類

(3) 海ワシ類(オジロワシ・オオワシ)

(4) オオジシギ

 

 しかし岩手県内の北上高地を中心として各地で大規模風力発電や大規模太陽光発電の計画が進んでいます。このような地域での発電施設の建設と稼働は特に希少猛禽類の生息環境を大きく損なうことに繋がりますので、岩手県内の3支部(日本野鳥の会宮古支部・日本野鳥の会北上支部・日本野鳥の会もりおか)は協力しながらこれらの事業計画への対応に取り組んでいます。また盛岡市内のイヌワシの生息環境を守るための「イヌワシの森整備事業」を関連団体との協力のもとで進めております。

<付>上記以外に県庁や市町村役場等への訪問と情報収集・陳情なども度々行なっております。

[2] 高松の池芝水園のヨシ原保全活動

 高松の池の自然環境は当会のj発足当初から著しく変化しており、とりわけ近年は「芝水園」のヨシ原の陸地化が急速に進行しております。これにより以前は見られていたコヨシキリやヨシゴイなどの姿が近年では全く確認されなくなりました。このままでは陸地化に歯止めがかからず、この地のヨシ原が消滅してしまうため、当会では2020年度よりこの自然環境を次の世代に残すための活動に取り組んでおります。

[3] 御所ダムのカンムリカイツブリ生息地保全活動

 御所ダムでは平成28年以来毎年カンムリカイツブリの繁殖が確認されています。これを受けて東北地方整備局・岩手県・日本野鳥の会もりおかは合同でカンムリカイツブリの繁殖を静かに見守っていただくための注意看板を周囲の6箇所に設置しました。皆様が御所ダム方面に野鳥観察などでお出かけの際にこのポスターに気を止めていただければ幸いです。

[4] イヌワシの保護活動