野鳥観察・野鳥撮影のマナーについて


 皆さんは野鳥観察をしている際に、気付かずに野鳥に迷惑をかけたりストレスを与えたりしていませんか。また知らず知らずのうちに歩行者や地域住民の方々に迷惑をかけたりしていませんか。当会では毎回の高松の池定例探鳥会の冒頭で必ず野鳥と接する際の心がけを参加者の皆さんにお伝えしております。しかし現状では探鳥会の中止が続いておりますので、野鳥観察と撮影のマナーについてここに紹介させて頂きます。

[1] 野鳥の観察に関して

(1) 野鳥には野鳥の生活があります。その生活の圏内に入り込んで野鳥をしつこく追い回したり長時間粘ったりすると野鳥にはかなりのストレスになります。あくまでも「そっと見せてもらう」姿勢に徹しましょう。

(2) 私たちはつい「見たい、見たい」と思って野鳥観察行動を起こしますが、これに対して野鳥の側では自分が敵に狙われている(←実際に狙われている)と感じて警戒します。つまり野鳥は人間という怪物の『見たいビーム』に非常に敏感なのです。特に大型レンズ付きのカメラやスコープなどは野鳥には大きな「目玉」のように見えているはずです。

(3) 人間のみならず野鳥にとっても繁殖(子育て)は非常に重要な営みです。野鳥の巣に近づいたり巣の近くで長時間待ち続けると親鳥は巣に戻ってヒナに餌を与えることができません。また巣の場所が敵に知られたと思い、その巣を放棄する場合もあります。繁殖期には営巣中の巣や野鳥の親やヒナに近づかないようにしましょう。もしも野鳥が自分の近くからどうしても離れずに警戒の声を出し続けているような場合には、きっとすぐ近くに巣があり、そこでヒナが親を待っています。そのような場合に出くわしたらできるだけ速やかにその場を離れましょう。

(4) 野鳥のヒナは巣立ちをしてもすぐに飛べない場合がほとんどです。仮に地面にヒナが落ちていても親がすぐ近くのどこかで見守って餌を与えているはずですから、決して拾ったりしないで遠巻きに見守ってやってください。

[2] 歩行者や地元の住民に関して

(1) 野鳥観察をしているときに道路を塞いで歩行者の通行の邪魔をしていませんか。道路は野鳥観察者だけのものではなく公共のものであり、歩行者の方もランナーの方もいます。できるだけ道路の真ん中で立ち止まったり道を塞いだりすることがないようにしましょう。また三脚などを使う場合には他の通行人や自動車の通行の邪魔にならないようにしましょう。

(2) 視野の先に野鳥が居る場合でも、地元住民の家などに双眼鏡やスコープ・カメラなどを向けないようにしましょう。特に市街地での野鳥観察の際には細心の注意が不可欠です。

(3) 無断で私有地の田畑や人家や山林などに入るのは厳禁です。また自動車は基本的に駐車場に止めましょう。特に田んぼ脇の農道などに勝手に自動車を止めると農作業に支障をきたし、農家にとってかなりの迷惑がかかります。

[3] 写真撮影に関して

(1) 野鳥の撮影に熱中するあまりに野鳥に接近し過ぎたり、野鳥の居場所に何時間も張り込みをしたりすると野鳥に大きなストレスを与えます。「いい写真が撮れるまで頑張る」人は実は野鳥にとっては最悪です。

(2) 野鳥の写真をネット上で公表する場合はできるだけ撮影場所が特定されないものを選びましょう。また公表する際には可能な範囲で画素数を落としたり撮影データを消去するなどの処理を行なってください。

(3) 特に希少な野鳥の写真はすぐにネット公表せずに、その野鳥の姿が見えなくなった頃合いを見て公表しましょう。すぐに公表するとカメラマン等が多数集まるなどして野鳥にストレスを与えますし、人が集まることにより地域住民にも色々と迷惑がかかります。

(4) 野鳥の繁殖に関わる写真はできるだけ公表しないようにしましょう。特に猛禽類や希少種の繁殖等に関しては、写真撮影それ自体が繁殖の障害となる恐れが非常に高いので研究目的の場合以外は撮影を行わないようにしてください。

(5) 一般にネットに野鳥写真の投稿をするとすぐに無断コピーされる恐れがありますから、大事な写真は気軽にネットに出さないようにしましょう。当会のブログでは野鳥の写真を掲載する際に「WBSJ Morioka」の署名を入れさせていただいておりますので、当ブログに写真を投稿される場合にはその点をあらかじめご了解ください。

[4] 日本野鳥の会「野鳥観察・野鳥撮影の初心者に向けたマナーのガイドライン」について」

 日本野鳥の会では2022年4月26日付で「野鳥観察・撮影の初心者に向けたマナーのガイドライン」を策定しております。その詳細については下記の日本野鳥の会HPのプレスリリースのページを参照して下さい。